僕が、庭文庫 さんを知ったのは、今も購読している地元紙のコラムでした。ご夫婦で営まれている、岐阜県にある宿泊できる書店なのですが、ご主人の百瀬雄太さんの記事を最初に読んだ時、涙が滲みました。
そのコラムでは、雄太さんが東京の会社を辞め、恵那市に戻られるくだりが語られていました。
ご両親の意向を汲みながらも、本音のところでは望まない仕事を目の前に、体調不良を次第に抱えながらも、心の中で
「まだだ、まだ、その時じゃない」
と言い聞かせながら、会社員を続けたそうです。そして、遂に、大きなプロジェクトを終えて、自分の中での区切りを迎えた時に、
「ああこれでもう、自分の人生を自由に生きていい」
と、微笑みながら会社を辞め、自分を許すことができた、のだと言います。
「もう、親や誰かのために、生きなくていい」
と思えたのだそうです。
僕も、やっとの想いで会社員を辞めて程なくの頃で、理解を得られない状況もあった中、まさに、僕の心境を代弁してくれている様でした。会社員を続けるのは、お金や自分の事だけではない。親兄弟やパートナー、周りの目に囚われている事も多いのだと、実体験でも感じていたので、実に救われました。
そこから卒業するには、人様の評価に関わらず、自分の中で「やり切った」と言う思いと共に前のめりに倒れていかないと、なかなか実現できないものです。
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